ARTIST INDEX

■ CDS&RECORDS [1/11]
オフ・コース
「オフ・コース/あいつの残したものは」(1976年 JAPAN)

 2人組オフコース(当時の表記はオフ・コース)8枚目のシングル「ひとりで生きてゆければ」のB面、鈴木康博の作詞作曲リードヴォーカル曲。 オフコースのメロトロンと言えばアルバム「ワインの匂い」(1975年)収録「倖せなんて」における小田和正のMellotron Fluteだけだと思っていましたが、こちらにもう1曲アルバム未収録の隠れたメロトロンソングがありました。 深くリバーブをかけて神秘的なムードだった「倖せなんて」に比べ、フォーキーで穏やかな曲調のバックを支えるMellotron Fluteはほぼドライ。 飛び道具としての役目はシンセやエレピに任せてMellotron Fluteは曲の最後まで和音を刻んで楽曲のカラーを決定づけています。 1975年「倖せなんて」、1976年「あいつの残したものは」、に続いて1977年の飛行船(あんべ光俊)のアルバム「風の時刻表」(小田和正とプロデューサーの武藤敏史がメロトロンを演奏)までオフコースのメロトロン時代と言えると思います。 また、このシングルからドラマーの大間ジローが正式加入し後の5人組バンドへの変化が始まり、小田和正は音楽の幅を広げるため同年のアルバム「SONG IS LOVE」から独学でフルート演奏を始めます。 そのタイミングはメロトロンによるフルート演奏がきっかけになったのではないかと勘ぐってみたくなります。 本シングルの録音は東芝EMIスタジオ、クレジットはありませんがメロトロン演奏は恐らく小田和正と思われます。

2021年10月29日
野坂昭如
「野坂昭如/分裂唄草紙」(1974年 JAPAN)

 作家としてだけでなく歌手としても異彩を放った野坂昭如のアルバム5作目。 小室等、泉谷しげる、吉岡治、武田鉄矢、小谷充など豪華な作家陣を迎え、タンゴ、じょんがら、ロック、ソウル、演歌と縦横無尽に歌いまくる怪作。 唯一高中正義が編曲したA面4曲目「十人の女学生」では、10人の女学生が1人づつ様々な事故や犯罪(人さらい、女郎屋、窃盗村八分、狐に憑かれる、集団強姦、無理心中、家出、放火鑑別所、天然痘、首吊り)に巻き込まれて最後には誰もいなくなると言う内容。 ミドルテンポのロック調、残り5人になったところで突然Mellotron Choirが唸りを上げ、Mellotron 3ViolinsとChoirによる恐ろしい間奏が入ります。 残り2人になったところで再び恐怖のMellotron Choirが雄叫びを上げ、とうとう最後の1人になったところでMellotron 3Violinsに加えMellotron Celloの低音が唸りだします。 そして最後に「そこで誰もいなくなった〜♪」と歌いきったのを待ちかねたようにMellotron Cello、3Violinsがおどろおどろしいアンサンブルを奏で、高中正義のギターソロを交えてエンディング。 飄々と歌い続ける野坂昭如と恐怖を煽るメロトロンの対比がハマった物悲しい珍曲。 メロトロン演奏のクレジットは不明。

2021年3月1日
ゆらゆら帝国
「ゆらゆら帝国/空洞です」(2007年 JAPAN)

 ゆらゆら帝国の最終作となった2007年の11thアルバム。 呪文のようなミニマルテクノのような反復は、出ない答えをずっと待ってるような心境になります。 無駄な音のない3ピースバンドに、管楽器が実に上手く配されて時にグルーヴィーでもありスタイリッシュな雰囲気さえ漂います。 T-9「ひとりぼっちの人工衛星」の間奏では坂本慎太郎のクレジットでMellotron Fluteが登場。 ゆったりとしたテンポで宇宙空間を漂う美しいMellotron Fluteと役目を終え行き場を失った人工衛星からの視点は、ゆらゆら帝国版David Bowie「Space Oddity」とも言える雰囲気があります。 アルバムのタイトルトラックでもあるラストT-10「空洞です」では中盤から極彩色のMellotron 3Violinsが使用され、妙な達成感を得られたような気持ちになるのは私だけではないでしょう。 メロトロンのサウンドと共に全て押し流されてアルバムは終わり、すぐに虚無感が押し寄せてきます。 そしてまた答えを求めてアルバム1曲目から聴き始める...術中にハマるとはこのことでしょうか。 T-10キーボードのクレジットはアルバムのサウンドプロデューサーでもある石原洋。

2021年2月28日
横倉祐児
「横倉祐児/神出鬼没 -nowhere to belong-」(1976年 JAPAN)

 海外放浪の旅、ハワイのキャバレーバンドのキーボーディストを経て、帰国後に制作したデモテープをもとにミッキー吉野らと共に制作した作品。 ゴダイゴデビュー前夜1976年1月から3月の録音でミッキー吉野、浅野孝己、スティーヴ・フォックス、アイ高野がバックを固めるも、メジャーリリースの計画が頓挫し2013年にようやくCD化されたもの。 海外を眺めてきたヒッピーが日本の社会情勢や日常生活をシニカルな歌詞に乗せ、フリーキー且つユーモアたっぷりに歌っています。 アルバム1曲目「はとバス」ではちょっととぼけたムードのMellotron Fluteがいい感じで脱力感を、続くサビでは端正なMellotron 3Violinsが登場します。 横倉さんご本人がゴダイゴの世界観に近いのでは?とコメントするT-4「朝風」でもMellotron Fluteがリズムの裏ででテンポを取るように使用され、Mellotron Fluteのみのフレーズでエンディングとなります。 ミッキー吉野さんのメロトロン演奏ってなんだかどれもシャレてるんだよね。

2021年2月28日
絵夢
「絵夢/絵夢」(1975年 JAPAN)

 女性シンガーソングライター絵夢のデビュー作。 79年の5thアルバム(現在までの最終作)に向かってポップ化が進みますが、出発点は情念たっぷりだったことが伺える内容です。 A-5「写真」では矢野誠の編曲で歌い始めからMellotron 3Violinsが使用されます。 イントロ部分には1ノートだけMellotron Celloも使用されているように聞こえます。 音は小さめのミックスなのですが、まるでAMラジオから大量のノイズを伴って鳴らされているかのような独特の音質で否応無しに耳に飛び込んできます。 前年同じく矢野誠が編曲した佐藤公彦(ケメ)の「西海岸へ続く道」(アルバム「片便り」に収録)でもそうでしたが高音がオーバー気味に録音されていて妙な迫力を感じます。 メロトロンを記憶に残る印象的な録音をさせたらもしかしたら矢野誠が第一人者ではないでしょうか。 ありきたりなメロトロンのフレーズや録音に物足りなさを感じているメロトロンマニアは一聴することをお勧めいたします。 アルバムでのメロトロン使用はこの1曲だけですが、B-2「有情無情の花」では同じく矢野誠編曲でムーディーブルース「サテンの夜」の例のフレーズが生のバイオリンで登場するお楽しみもあり。

2021年2月28日
ビリー・バンバン
「BILLY BANBAN/VOL.4」(1974年 JAPAN)

 菅原孝と進の兄弟(次男、三男)フォークデュオ、芸音レコード(日本コロムビア)移籍後4作目にあたりデビュー作から数えて5作目のアルバム。 ピアノ、キーボード、メロトロン(編曲)に柳田ヒロ、ベースに後藤次利、岡沢章、ギターに高中正義らを迎え洗練された洋楽志向の作品になっています。 リリースは日本におけるメロトロンイヤーである1974年で、且つ柳田ヒロの組み合わせとくればメロトロンがしっかり導入されているであろうことは想像に難くありません。 冒頭の雷鳴から柳田ヒロのピアノと全編英語の歌詞で始まるアルバムは、アート志向と言いましょうかいわゆるトータルアルバムの匂いがします。 A面最後の6曲目「何かがたりない」ではイントロからキャッチーなフレーズでMellotron Fluteが登場し、中盤のオルガンソロに合わせて結構な早弾きで再びMellotron Fluteが使用されます。 B面1曲目「愛情はぐれびと」では遠くからMellotron Fluteが鳴りはじめ、中間部でMellotron 3Violinsを使用し場面転換後に再びMellotron Fluteを、そしてMellotron 3Violinsでエンディングとなる構成。 B-2「朝」ワウギターが先導する曲のサビからエンディングにはまるで陽光のように感じられるMellotron Choirが使用されています。 軽快なアレンジのおかげかChoir音源で暗い雰囲気にならないのはかなり珍しいと思います。 B-3「招待状」ではブルージーな曲の冒頭とサビにMellotron Choirの高音部を使用。 B-4「愛の休暇」ではギターソロからの間奏部分にMellotron Choirの低音部が使用されて厳かなムードを演出しています。(CDではT-6からT-10まで連続するメロトロンソング) その後にキングクリムゾン「ムーンチャイルド」を思わせた「また君に恋してる」(2007年)なども突然変異ではなく、この頃からの地続きであったのではないかと思わせます。 フォークからニューミュージックへの移行期、腕利きミュージシャン達の好演も加わった上質な作品です。

2020年10月11日
クレイジーケンバンド
「CRAZY KEN BAND/Brown Metallic」(2004年 JAPAN)

 横山剣率いるクレイジーケンバンドの6thアルバム。 横山剣の昭和歌謡的な作品が並ぶ中、幅広い音楽性を持つギターの小野瀬雅生が主導するインストルメンタル「大電気菩薩峠」が異色。 四人囃子「空と雲」の完全なるオマージュというかほぼ同じ曲で、ある意味ムード歌謡的に聞こえなくもないところがミソ。 浮遊感たっぷりな曲中、Mellotron Stringsが登場。 恐らくデジタル音源だと思われますが、ローファイで巧みな録音がかなりいい音を醸し出しています。 キーボードは壷井彰久率いるKBBのメンバーでもある高橋利光。

2014年8月24日
ムーンダンサー&タキオン
「MOON DANCER & TACHYON/LIVE! 2013 Live At Rock Joint GB 2013.5.18」(2014年 JAPAN 画像左)

 2013年5月18日、それぞれ33年と32年の沈黙を破り復活ライヴを行ったMOON DANCERとTACHYONのライヴレコーディング。(オーバーダビング無し) ステージ中央コの字型に組まれた厚見玲衣のキーボードブース奥には黒いNOVATRON 400SM、向かって左側ギタリストへ向けてセットされた白いNOVATRON 400SMが目を惹きます。 当時のMOON DANCERでは使用されなかったメロトロン(NOVATRON)は6曲目の「哀しみのキャンドル」で登場します。 クリムゾンの宮殿を下敷きにしたかのようなドラマチックなイントロではKORG PE-2000でしょうか、コシのあるザラついた特徴的なストリングスが使用されています。 間奏では沢村拓のアコースティックギターのバックへ優しいNOVATRON Fluteが使用され、そのままシームレスにNOVATRON Stringsへ切り替えて劇的な場面転換が行われます。 ホルスト「火星」のようなリズム展開からハードなギターソロへ覆い被さるように怒濤のNOVATRON Choirが使用されエンディング。 後半のTACHIYONではアンコールで演奏されたザ・タイガース「美しき愛の掟」のカバーで、MOON DANCERのベーシスト下田展久がサポートし白いNOVATRONを演奏。 厚見玲衣の激しいシンセソロと共に壮絶なNOVATRON Stringsの嵐をエンディングまで弾き続けます。 モダンで壮大なアレンジに仕上げられた楽曲に驚くとともに、GSの世界観とプログレッシヴロックの壮大さには強い親和性があるのだなと改めて感心。 全編手弾きの華麗な鍵盤群と強固なバンドアンサンブルに圧倒される本作。 やはり本物の音は違う。

「V.A./SORCERIAN PERFECT COLLECTION」(1991年 JAPAN 画像右)

 日本ファルコムが開発し様々な形態で長く人気を保っていたコンピューターゲームのイメージ楽曲集。 編曲・キーボード厚見玲衣、ベース永井敏巳、ドラム菅沼孝三という超テクニカルなキーボードトリオは、SUPER ARRANGE VERSIONと謳い「ペンタウア」「エビル=シャーマン」の2曲でオリジナルのモチーフを拡大展開しています。 TACHYON再結成で演奏されたザ・タイガース「美しき愛の掟」のイントロで使われたシンセフレーズや基本骨格はこの「エビル=シャーマン」を原型としているようです。 前半ではMellotron Fluteがリードのメロディを奏でたり、中盤ではChiorの音源も使用されているようです。

2014年8月24日
BELLRING少女ハート
「BELLRING少女ハート/Killer Killer EP」(2014年 JAPAN)

 ブルース・リー先生の名言をもじった帯タタキ「考えるな。 買うんだ。」ということで買いました。 2012年結成のアイドルユニット、ベルハーの6thシングル。 今まで何十年も歌のヘタクソなアイドルをテレビやラジオで見聞きしてきたがこれはケタ違いの衝撃。 1曲目「Crimson Horizon」からレトロポップ感満載なムード。 鼻の詰まったような怪しいブラスサウンドが実はクセモノで、サビでは火炎の如く吹き荒れるMellotron Brass(もちろんデジタルでしょうけど)だった。 音的にはCZARやリザード期のKING CRIMSONなんかに近い印象。 タイトルはキングクリムゾンと歌詞に出てくる夕景のダブルミーニングか。 2曲目「プラスチック21g」でもゴーゴークラブよろしく懐かしいグルーヴ感。 3曲目「kUMA GOQLI」は出だしから甘いMellotron Stringsが登場しエンディングまでたっぷり楽しめる。 しかしなんでしょうこの幻感(げんわくでは無くまぼろしかん)というか実在感の無さ。 昭和の映画のワンシーンに一瞬出てきた架空のバンドの如く、いつまでも頭の中に残って気になって仕方ない。 編曲とキーボードはBELLRING中年ハートでも活躍されているセッションプレイヤーの宇田隆志。 ディレクター田中紘治の趣味か、60年代末期プログレ前夜のGS、サイケ、アートロックを上手い事アイドル歌謡とミックスさせたものだと感心した。 デジタルな効果音も単なる懐古趣味に陥らないバランス感覚があるし、メロトロンサウンド目当てに聴いても損はしないと思う。 それにしてもこれ以上歌が上手くなってはイケナイね、らしさが消えちゃうもの。

2014年6月22日
メダモイル
「MEDAMOIL/イロドリメグル」(2014年 JAPAN)

 2008年結成、Vo、Gの藤田剛、Baの村上潤次、Syn、Mellotronの北側晋也からなるメダモイルの1stアルバム。 いわゆるオルタナ、グランジ系のエッジの効いたバンドサウンドに、キーボードの北側晋也が奏でるエレクトロニカルなシンセと執拗にねじ込まれるメロトロンサウンドが新鮮。 1曲目「Monochrome」の間奏からMellotron Fluteが登場して以降、全10曲中8曲でメロトロン弾きっぱなし。 しかしながらそれだけにとどまらないバランス感覚に好感が持てる。 J-POPメインストリームのファン層からクリムゾンやアネクドテン好きのメロトロンマニアまで間違いなく楽しめる。 一聴しただけでは地味に聞こえるが、巧みな演奏に乗る翳りのあるメロディーと日本語にこだわった歌詞は光るものあり。 3曲目「Everything begins from Nothing」ではMellotron FluteにMellotron 3Violinsの猛吹雪。 中盤の3Violinsのソロにギターソロが重なる部分などもはや涙腺欠壊レベル。 4曲目「#005」の1番のサビでは3Violinsを弾いたかと思えば、2番はFluteがリズムを刻んでみたりしながらまたもや3Violinsで執られるソロパートにニヤリ。 5曲目「この狭い部屋とその窓辺に咲く花」では上下する怪しいフレーズをFluteで弾いたと思えば、3Violinsの直球勝負をした後にバリバリのシンセソロ披露。 6曲目「dejavu」では頭から3Violinsが鳴りっぱなし。 エレクトリックファンクな7曲目「Dance@13」でもピッチベンディングした3Violinsを多用。 先行リリースされていた8曲目「ホラネ」ではイントロからキーボードソロに至るまでFlute出ずっぱり。 ビートルズの苺畑やキャメルみたいな優しいFluteには思わず鳥肌。 こんなにメロトロンソロを弾きまくるバンドも珍しい...しかもヘッドバンギングしながら! 唯一のインストナンバー9曲目「独り言」でも3Violins全開。 これには初期の四人囃子みたいな雰囲気。 とにかく若さと疾走感が溢れていて一気に聴かせられるアルバム。 シャウトからファルセットまで男気溢れるヴォーカルとラウドなギター。 饒舌なリズム隊に鳴り響くメロトロン。 今時こんなに誠実で熱いロックバンドが他にあるか?

2014年4月27日
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